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2016年10月19日 (水)

"Guillermo del Toro: At Home with Monsters" @ LACMA

LACMA(ロサンゼルス・カウンティ美術館)は、ロサンゼルスの丁度真ん中にある。
映画の都ハリウッドからもそう遠くないこともあってか、
映画に関わる展覧会が開かれることも多い。

かつてスタンリー・キューブリック展やティム・バートン展もここで行われた。



そんなLACMAで今年の8月から行われているのが
“Guillermo del Toro: At Home with Monsters”
メキシコ人映画監督ギレルモ・デル・トロが”Bleak House”と呼ばれる別宅に所有するコレクションを公開したものだ。
フランケンシュタインの大きな顔がお出迎えしてくれるこの”別宅”は、
深紅の壁に大小様々な絵画、フィギュア、おもちゃ、著名人の実物大の彫像などが所狭しと並べられているまるで(可愛らしく言えば)おもちゃ箱のような家だ。
デル・トロがここで自分のイマジネーションを存分に発揮させ仕事をする一方で、
彼の奥様とお嬢さん達は怖がってこの家には近づこうとしないという。

(そんなおどろおどろしいBleak Houseとは裏腹に、デル・トロ本人はとてもチャーミングな顔立ちをしているおっさんである。この人多分絶対良い人。)
そんな彼のオタク部屋、想像力の源を垣間見ることが出来るというのだから、
デル・トロ信者は必見の展覧会だ。


YouTube: Andy Visits Guillermo Del Toro's Bleak House - CONAN on TBS

(こちらはトークショー”Conan”で出演者の一人がBleak Houseを訪れた時のクリップ。
この膨大なコレクションの数々から、LACMAに出展されている。

この動画では紹介されなかったけれども、展示会では映画”Hellboy”での小道具や衣装、
原作コミックの作者Mike Mignolaのナマ原稿なんかもあってわたしはひれ伏した・・・。
デル・トロは赤の使い方が良いがMignolaは黒がとてもいい。Mignolaはいいぞ!!)


わたし自身はデル・トロ監督作品にはそんなに詳しいわけではなく、
Hellboyシリーズと、Pan’s Labyrinth、Pacific Rim を観たぐらいだ。
デル・トロ、さすが好きなだけあって、クリーチャーの造形が毎回ハンパない。
手先が器用、とかそういう言うんじゃなくて、これはもう身も心も捧げたプロの仕事であると同時に根っからのクリーチャー好きの少年が作ってる!!!と(勝手に)感じる。
そんなクリーチャー達も去ることながら、わたしは何よりも彼の色使いが一番好きで、
特にHellboy 2のこのシーン↓の金と赤の使い方が本当に上品で何度観ても最高にうっとりする。


YouTube: Hellboy 2: The Golden Army (3/10) Movie CLIP - Prince Nuada Kills King Balor (2008) HD



今回のLACMAでの展示と同名がつけられた本“Guillermo del Toro: At Home with Monsters”は、
デル・トロのアートやSci-fi、オカルト、ホラー作品に対する情熱、
Freak show (見せ物小屋)からフランケンシュタインに至るまでの”異形の者たち”への愛、
そして映画監督としてデジタル時代に対する思いなどがたっぷり詰まった本で、彼のファンにとってはたまらない内容となっている。
LACMAの展示にも来ている直筆のスケッチブックは、たくさんのイラストや文字でアイディアを書き留めてあるドキドキの宝庫でやべえのなんの。

"書き言葉は読み手の受け取り方によるところがあるけれど、イメージはいつも具体的で、曖昧さを残さない。"(Salvesen 31)

と彼は言う。
思いついたアイディアを忘れないために、彼はスケッチブックにそのままイメージとして書き留めるのだ。そして彼はそれを脚本にする時、"実現できない形容詞は使わない"という。
書き言葉では一見破綻しているような描写でも、スケッチすることで可能になることがたくさんあるのだ。

先に述べた彼の色使い、色彩に対する熱い思いも蕩蕩と語られていた。
特に赤には並々ならぬ情熱がかけられていて、氏曰く

”映画の中でいつも”赤”は重要な役割を持っていて、
今までのどの映画の中でもただの一度も不用意に赤を使ったことはない”

という。


どおりで毎回映えているはずだ。

“Hellboyでの赤は、キャラクターか彼らにまつわる物にしか使われていなくて、
Crimson Peakでの赤は過去の罪や秘密を象徴する色だ。”
(Salvesen 38)


・・・というのを踏まえてもう一度予告編なんかを観てみると今まで見えなかった新たな奥行きが見えるような気がする。


YouTube: Hellboy 2: The Golden Army (2008) Official Trailer #3 - Guillermo del Toro Movie


YouTube: Crimson Peak - Official Theatrical Trailer [HD]

同書の中でデル・トロは
”僕は本当に、このホラーというジャンルをやるために生まれてきたのだと思う。”
と発言している。

そしてこの個人所有の展示品を見せられた日には「せやろな」と思わざるを得ない。
プロのオタクってこういう人のことをいうんだろなー。かっこいいなー!!!!
彼について少し調べるにつれて、わたしまで新しい扉を開けてしまった感、ある。
H.P. Lovecraftの”クトゥルフ神話”。
読むしかないのか。


ギレルモ・デル・トロ展はLACMAで11月27日まで公開中。
(ロサンゼルスはこのぐらいの時期が一番過ごしやすいのでおすすめです)
http://www.lacma.org/guillermo-del-toro#about-the-exhibition

展示がもっと面白くなる本”Guillermo del Toro: At Home with Monsters”はこちら






Reference:
Salvesen, Britt ;Shedden, Jim
"Gillermo del Toro: At Home with Monsters (Inside his films, notebooks, and collections)"